埼玉SNS選抜マドリード遠征⑥

1991

12/28   7:00 遠征最終日

朝の散歩、そして朝食を取り、大会が行われるCDカニージャスのグランドへ。

泣いても笑ってもこのメンバーで戦うのは後2試合。

しっかりとアップを行い試合の準備。

10:00 準決勝

前半開始30秒、なんとアトレティコキーパーが味方のバックパスを処理しきれずボールがそのままゴールへ。

思いもしない形でFITA埼玉SNS選抜が先制。

良い形で試合に入った勢いのまま前半4分、スペインに来てセットプレイでの得点が目立つ中、ジュンの蹴るコーナーキックをハルが打点の高いヘディングで合わせ2点目。

こんなに上手く行って良いのかと思ったのも束の間、相手のコーナーキック。

ニアでブロックを作っていたキャプテンイブキのヘディングが痛恨のクリアミス。

相手に得点をプレゼントしてしまう。

激しい攻防が続く中、どちらも決定機に欠け 2-1 のまま前半終了。

「コーチ、これに勝てば決勝ですよね?!」

その前に、目の前の相手に勝つ事だけに集中しよう。

円陣、掛け声も様になってきたFITA選抜。

集中したまま後半戦へ。

選手を入れ替えながら互いにチャンスを伺うがどちらの守りも硬く、一歩も譲らない。

しかし後半10分、何の変哲もない緩やかなハイボールがFITAゴールへ吸い込まれる。

ヒサト「飛ぶタイミングを間違えました」と判断を誤り、プレゼントゴールの様な形で2点目を与えてしまった。

残り10分、互いに1点を奪うために全勢力、死力を尽くすがタイムアップ。

準決勝はPK戦へと突入

試合前、ウォーミングアップ中のPKで良い反応を見せていたハヤトがゴールマウスへ。

FITA選抜、先攻。

ミナト、ヒロト、イブキ、コウタロウ、ハル、ジュンの順で、どの選手も危なげなくしっかりとゴールネットを揺らす。

そして相手の6人目。

ここで、とうとうハヤトが劇的なPKストップ。

その瞬間、アトレティコのキッカー8番は泣き崩れる。

FITA埼玉SNS選抜の全選手がハヤトの方へ向かって歓喜の猛ダッシュ。

「FITA埼玉SNS選抜」 2-2 (PK6-5) 「アトレティコ・マドリード」

「コーチ!アトレティコに勝った!」

スペインの名門に勝利した。

ペナルティキックとは、チームの誰かが無情にも悲劇に襲われる残酷なルールだ。

10才の少年達には荷が重いとも感じられる。

-休憩-

終始大人気のFiTA埼玉SNS選抜

12:30 決勝戦

モラタラスのトレーニングマッチを数え計6試合目。

とうとう無敗で、スペインのCDカニージャスクリスマスカップ決勝にまで辿り着いたFITA埼玉SNS選抜。

相手はマドリードの混合チーム「INAZUMA FC」。

何かの縁か、皮肉にも日本の単語を利用したチーム。

ここまで来れば悔いは無い。

納得行くまで思い切り戦おう。

開始直後、決勝のプレッシャーからか右サイドを簡単に崩されイキナリのピンチ。

ワンツーで抜け出した相手のエースがダイレクトでファーサイドネットにボールを巻いて突き刺す技有りシュートで開始30秒あっという間の失点。

何とか立て直したFITA選抜は7分、右サイドをダッシュ力と個人技で抜けたコウタロウが中央のジュンに折り返す。絶妙なファーストコントロールから左足のミドル。鋭いコースに飛んだボールはゴールネットに突き刺さり試合を振り出しに戻した。

まさに決勝戦。

大会に参加していた全チームが視線を送るなか、愛嬌のあるFITA選抜の面々はアウェイにも関わらず会場にいる半分以上の人間を味方に付けていた。

シュートが枠を捉える度、会場は湧く。

こちらの指示も選手達に届かなくなる程の騒めきが終始鳴り響く。

ハーフタイムに入り仕切り直すが、最後まで互いの集中力は途切れない。

後半の15分間、スコアは動かないままタイムアップ。

FITA埼玉SNS選抜、今大会2度目のPK合戦に突入した。

終了のホイッスルがなった際ピッチに立っている選手以外の参加が認められないルール。

FITA先攻、キーパーは後半に出場していたハヤトになった。

コウタロウ、イブキ、ハル、ジュンの順で危なげなくネットを揺らす。

PK成功者が増えていく度、後ろの選手にプレッシャーの重圧がのし掛かっていく中、5人目のキッカーはケンヤ。

左足でダフり気味に蹴り込んでしまったボールは甘いコースに飛んで行きキーパーに阻まれる。

爆発しそうな感情を抑えながら、こちらの表情を伺いつつ小走りで戻ってくるケンヤ。

ハヤトを信じるしかない。

しかし、二度目のPK合戦、勝利の女神は相手側に微笑んだ。

「FITA埼玉SNS選抜」 1-1 (PK 4-5) 「INAZUMA FC」

FITA選抜の全員が1人残らず、泣き崩れた。

そして、応援してくれていたアトレティコ、カニージャス、ELITE TALAVERA、レガネスの選手達、コーチ陣が即座に駆け寄る。

-昨日の敵は今日の友-

「君達がベストチームだよ!」

僕達の分も戦ってくれてありがとうと言わんばかりの励ましが繰り返される。

表彰式、準優勝チームが発表されると、

「FITA〜、FITA〜、FITA〜、FITA〜」

何と会場全体からFITAコール。

ここからは私事になりますが、PK合戦が終了した瞬間、相手チームが猛ダッシュで歓喜に包まれている瞬間を目の当たりにし負けを確信しました。子供達の元へ駆け寄り「お前ら良くやった!」、「ケンヤ!10番付けてスペイン大会の決勝でPK外すなんて、一生忘れられない記憶、宝だぞ!自慢してやれ!」と励ましながらも涙を隠すのが、やっとでした。情けない話ですが、サッカーで泣いたのは、1994年のJユースカップ以来です。

ありがとうございます。

会場全体で様々な選手、指導者、スタッフの感情が交差するなか、他チームのスペイン人指導者に握手を求められました。その方の顔を見ると、自分以上に号泣していたのが印象的でした。

悔しいですが、その瞬間、改めて国全体のサッカーに対する情熱の差を感じてしまいました。

「一つのスポーツに対して、老若男女、ここまで感情を注がれたら、敵う訳が無い」

しかし、今回再確認できたのは、日本のU-10というカテゴリーに関しては、欧州サッカーに負けない姿勢と情熱で戦えていると言う事。

年齢的にまだ、余計な情報を取り入れず純粋な気持ちでサッカーに打ち込めている年代に思えました。

憶測ですが、中学、高校になると、余計な知恵で世界の情報を取り入れ、ネガティブな人種から虚勢を張られ、蓄積された固定観念がプロ選手になる意識や、欧州強豪国選手に対する勝利への意欲を削られてしまっているのではないでしょうか。

FITA埼玉SNS選抜は、CDレガネス相手にも、アトレティコ・マドリード相手にも、羨ましいほど純粋に、本気で勝ちたい気持ちで挑みました。

「コーチ、明日、俺たちアトレティコに勝てるかな?」

「お前達が勝ちたければ、勝てる。その実力は、ある」

「よっしゃあ!ぶっ倒してやる!!」(カイル)

その全員の純粋な強い気持ちが決勝、PK戦にまで導いてくれました。

もちろん、彼らの技術、戦術理解度、予定外のアブダビ豪華セレブ滞在で培った団結力も強く影響したはずですが、純粋に勝利を信じる揺るぎない気持ちがいかに重要か、選手達から学ばされたマドリード遠征になりました。

ズルイかもしれませんが、彼らの今後の事を考えると、決勝PK負けと言う結果は、反骨精神を生むための一番良い薬になるのではないかと思います。

それぞれの家庭、チームに返り、今回の結果に満足せず、アブダビやマドリードで得た経験を共有してもらえれば幸いです。

予選の第2試合以外、全てが死闘でした。

全員でモノにした5勝1敗、準優勝。

胸を貼って帰路に就かせたいと思います。

埼玉SNSリーグ、当プログラムセレクションへと参加されたチーム関係者、親御様。

遠征参加者各位、ありがとうございます。

下記、ご確認よろしくお願い致します。

帰国日程:

12月29日(金)

エティハド航空 EY0076

マドリード発  9:45分

アブダビ着  19:40分

12月29日(金)

エティハド航空 EY0878

アブダビ発 22:10分

※成田 第1ターミナル着  12月30日(土) 12:45分

ご送迎の際はフライトの着予定が前後する可能性があります。

余裕を持っていらしてください。

よろしくお願い致します。