技術でも体力でもない。平凡な日本人選手がタイのトップレベルで活躍できる理由とは

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3月11日(日)PAT スタジアムで行われたタイリーグ1第5節、ポートFC対ウボンUMTユナイテッドの視察に行って来ました。

ポートFCはここまで3勝1敗と開幕から好調を維持、昨シーズン34試合で38得点を上げ得点王に輝いた元モンテネグロ代表のボスコビッチやスペインのラス・パルマスでプレー経験のあるセルヒオ・スアレスなど強力な攻撃陣がチームを牽引します。

対してウボンUMTは開幕からここまで2勝2敗。初の1部参戦となった昨シーズン、そこで活躍した主力選手がこぞって上位チームに引き抜かれた影響は大きく、ここまで苦しい戦いが続いています。

そしてD2(3部リーグ相当)からチームと共に昇格を果たし、在籍4シーズン目となるユーロプラスアジアの山崎健太の怪我による欠場も大きく影響しているでしょう。

選手の入れ替わりの激しいタイリーグにいて、山崎はウボンUMTで4シーズン目、チームでは2番目となる在籍年数になります。チーム内では古参の選手として、外国人選手として、頼れるリーダーとして大きな期待がかかっています。

山崎健太

駒沢高校、駒澤大学サッカー部、東京23FC、TTMカスタムズ(タイD1)、FKベラネ(モンテネグロ2部)、FKグルバリ(モンテネグロ1部)、ウボンUMTユナイテッド(タイ)

ウボンUMTユナイテッド Photo by Upon UMT United

プレシーズンマッチで負傷し、開幕から欠場していた山崎にとってこの試合が2018シーズン初のリーグ戦出場となりました。

熱狂的なサポーターで知られるポートFCのホーム、 PATスタジアムが山崎の今シーズンの初出場の舞台です。

試合は前半からポートFCのペースで進みます。サポーターの声援を受けて強力な攻撃陣が幾度となくウボンUMTのゴールを脅かします。

ウボンUMTもカウンターでチャンスを見出そうとしますが、スペインのデポルティボ・ラ・コルーニャで活躍したDFダビド・ロチェラを中心とした守備陣に阻まれなかなか好機を作ることはできません。

山崎は5バックの右サイドとして出場、試合を通してアップダウンを繰り返し、攻撃時には積極的に縦に仕掛け、守備では常に献身的な姿勢を見せていました。

Photo by Upon UMT United

結果はロスタイムにコーナキックから得点を許し、0−1の敗戦。それまで粘り強く守り続けていただけにウボンUMTにとっては残念な結果となりました。

 

この試合では山崎の姿勢が印象に残りました。

怪我明けでの出場、そして終始運動量が求められる厳しい試合の中で、試合時間残り10分ほどで足を攣ってしまいました。

しかしそこで担架を呼んで治療を受けていたのでは一人少なくなってしまう。山崎は自分で脚を伸ばしすぐにプレーに戻ります。その後も何度も足を攣りながら結局最後まで集中したプレーを続けました。

それは山崎がタイのトップリーグという舞台で活躍できる理由はここにこそある、と感じる場面でした。

もちろん彼は技術も体力もある程度の水準を備えた選手です。しかし特筆できるようなものではないでしょう。日本には彼くらいの技術を持つ選手はいくらでもいます。

実際に、彼は高校・大学時代の選抜でも、モンテネグロ2部でもタイ3部でも日本のJ2でも、いくつものチームのトライアウトで不合格と言われた経験を持ちます。

Photo by Upon UMT United

誰でも調子が良い時は良いプレーが出来るものです。

しかし試合の中で厳しい状況や苦しい場面は必ずやってきます。そういった時に、味方が本当にきつい状態でどれだけ戦えるか。

そういう場面で自分に何が求められているのか、それを本当に苦しい中でも体現できるか。彼はそういうことが出来る選手なのです。

技術でも体力でもない「ピッチで戦うという意味を理解している」それこそが彼がこのタイのトップレベルで活躍できる理由だと言えるでしょう。

Photo by Upon UMT United